SAVE Value Summit 2019
2019年6月10~11日は、『SAVE Value Summit 2019』です。アメリカ・オレゴン州ポートランド市で開催されました。
前回は、大会前の「プレ・サミット」の様子をレポート(≫more)しました。今回は、メインである本大会の様子をレポートしたいと思います。
▍『Portland Marriott Downtown Waterfront hotel』
会場となったのは、『Portland Marriott Downtown Waterfront hotel』です。このホテルは、ポートランドの代表的な景色であるウォーターフロント・パークの真ん前にあります。
この大きな川は、20kmほど下流に行くと、コロンビア川に合流します。そのため大きな船が行き来できるように、すべての橋は大型船舶に対応して造られています。
ウォーターフロント・パークから見える橋は、『ホーソン橋』(Hawthorne Bridge)です。1910年に建造された米国最古の昇開橋(鉄塔の間を垂直に昇降できる可動橋)です。
橋の設計エンジニアであった私としては、眺めているだけで幸せな気分になります。今も現役で、昇開するスパンの上に乗っている家のように見えるのが、操作室だと思います。夜中で昇開しているので担当者が宿直しているようです。

▍Value Summit 2019
今年の大会は、世界18カ国から約250人が参加し、3トラックの会場で、75人がスピーカーという規模で開催されました。
参加国は、オーストリア・カナダ・デンマーク・エジプト・ドイツ・香港・ハンガリー・インド・日本・オランダ・フィリピン・サウジアラビア・スロバキア・韓国・台湾・イギリス・中国・アメリカです。

▍オープニング・セッション
オープニングでは、前会長であるキャシー・ベサニー氏(写真左)の歓迎の挨拶から始まり、参加者や関係者への感謝の言葉と、これから始まる大会への期待の話がありました。
その後には、新会長であるリーニー・ホエクストラ氏(写真右)によるこれからの抱負と、任期である2年間で取り組む内容が披露されました。

▍バリュー・メソドロジーの知識体系『VMBoK』
今年のトピックに、『VMBoK』があります。これはこれまで60年近い歴史の中ではじめての取り組みです。世界中に広まったバリュー・メソドロジーの知識体系をまとめようという壮大なプロジェクトです。
協会のバイス・プレジデントであるロバート・スチュワート氏から、これまでの進捗とこれからの予定が報告されました。
まとめられようとしているVMBoKは、200ページ、85,000語の壮大なものです。世界中で、この知識体系がベースになり、さらに新しい分野へも展開しやすくなることでしょう。

▍横田尚哉もVMBOoKのメンバー
実は、私もメンバーの一人です。スチュワート氏から、このプロジェクトの企画の内容と、メンバーになってほしいと連絡があったのは、2018年5月。
集めらたメンバーは、アメリカ・カナダ・メキシコ・ドイツ・ハンガリー・日本の6カ国からの8名です。それぞれの国で、いまもっとも実務者として経験と知識のあるメンバーです。
私は、サービス分野におけるナレッジに期待されています。これまで研究・開発し、実際に使って効果のあった考え方とテクニックを、存分に提供してまいります。2020年6月が楽しみですね。

▍サービス業の発表が4つに
今年の大会では、サービス業からの発表が4つありました。
1つ目は石井敬子さんの『A Study of Eating Style with Spoons, Forks, and Hashi by the Extended Function Diagram』です。食べる道具を例に、新しいダイアグラムのテクニックが紹介されました。
2つ目は内村さやかさんの『Design Examples of Customer Experiences』です。イタリアンレストラン・チェーンの「サイゼリヤ」の方で、お客様の立場に立ったサービス業ならではのアプローチ方法の紹介がありました。
3つ目は村上紀子さんの『Function Analysis of Customer Loyalty and Application to Marketing Strategy』です。
彼女は、経済産業省から表彰されたばかりで、いま各メディアから注目されている女性です(≫more)
▍横田尚哉のテクニカル・プレゼンテーション
4つ目は私です。今年も発表してきました(15回連続入選!)
タイトルは『Life Cycle Value and its Evaluation』です。製品やサービスのライフサイクルにおけるバリューの変化を定義し、式に表し、評価するためのシートと事例を紹介しました。
おかげさまで会場は一杯になりました。参加者の中に、うなずいたり、スライドを写真に撮ったりする人がたくさん見えました。

▍新しい試みがそこかしこに
今回の大会は、新しい取り組みがあちこちにありました。
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