速報「SAVE欧州大会 in ハンガリー」

2018年4月19~20日に、ハンガリー・ブダペストにて、第6回SAVE国際協会欧州大会が開催されました。

FAの架け橋として、日本と欧州を毎年訪れております。すっかり、馴染みの顔になりました。

欧州のファンクショナル・アプローチの動向を速報したいと思います。

▍SAVE国際協会欧州大会

この大会は、SAVE国際協会(SAVE International)の欧州大会としていますが、欧州政府評議会(EGB)の大会とハンガリーVA協会(SHVA)の大会の3タイトルの大会です。

その他に、マイルズ・バリュー財団(MVF)とハンガリー・メトロポリタン大学(HME)が後援しています。

主にヨーロッパの専門家が集まっていますが、毎回、米国やアジアからの参加もあり、世界的な国際大会となっています。参加規模は、17か国、85名です。日本からは、私を含め4人が参加しました。

2日間のスケジュールで、基調講演・技術発表・事例報告など約50のプログラムです。

大会前日には歓迎イベントとして会長レセプション、1日目の夜にはドナウ川の上でのディナークルーズ、2日目の夜にはカンファレンス・バンケットがあり、ネットワーキングの機会を豊富に提供されていました。

▍横田尚哉は最新の研究技術を事例とともに発表

私の発表した論文は『Improvement of the Work Cell by FAST Diagram Itself』というタイトルです。「FASTダイアグラムによるワークセルの改善」という意味です。

日本では、FASTダイアグラムは「ファンクション・ツリー」モデルが主流です。機能系統図と呼ばれています。

一方、欧米では「テクニカルFAST」モデルが主流です。FASTダイアグラムというと、テクニカルFASTを指します。

私は長年、このFASTダイアグラムを研究し、実践に適用してきました。その経験を生かして新しく開発したFASTダイアグラムの技法を発表しました。

参加者からは「まさにこれこそがイノベーション」(ブルース・レンザー氏)、「是非、日本の専門家たちに広めて欲しい」(ドリュー・アルガス氏)などと意見をいただきました。

日本で開発したFASTダイアグラムが、世界でも通用するという実感を得てきました。

私の他には、関田力さんの発表がありました。タイトルは、『Cases of applying VE to Enterprise IT Project and Effect』(企業のITプロジェクトへのVE適用事例)でした。

ITという新しいフィールドでの研究発表は、素晴らしい内容で、力の入ったプレゼンでした。多くの参加者から質問や名刺交換などに追われるほどでした。

▍今回のトピックス

今回の大会のトピックスは、やはり欧州の動向です。SHVA会長の交代オーストリア大会の創設CVS認定基準の改定などがあげられます。

イシュトヴァン・トラヤーニSHVA会長は副会長に、新しくアッティラ・バルガ氏が会長に就任しました。トラヤーニ氏の会長は5年ほどということでしょうか。副会長だったフランシス・ナダスティ氏は、議決権のないコンサルタントのポジションとなったようです。

2018年10月24~25日にウィーンにて、「第1回オーストリアVEサミット」が開催されます。毎年の開催となるそうです。4月にハンガリー、5月にドイツ、10月にオーストリアというのが定期開催されます。次回から、SAVE欧州大会は、この3カ国で持ち回りになりそうです。

ドリュー・アルガス氏の基調講演で、SAVEが現在作成中の「新・CVS認定基準」の一部が紹介されました。CVSとは、ファンクショナル・アプローチの世界での最高資格で、世界に約1,000名が保有している国際資格です。次のような情報が共有されました。

  • ・指定研修がモジュール1/2から、VMF1/2に
  • ・12件480時間以上から、6件240時間以上に
  • ・6件のフォーカス・スタディーが必要
  • ・フォーカス・スタディーに基づく論文発表
  • ・記述式問題がなくなり、全て選択式に
  • ・筆記試験から、オンライン試験に

左上:アッティラ・バルガSHVA会長、右上:横田尚哉とイシュトヴァン・トラヤーニSHVA副会長、左下:マンフレッド・ニナウスEGB会長(オーストリア)、右下:ドリュー・アルガスSAVE国際協会副会長(USA)

▍ハンガリー・ブダペスト

開催地ハンガリーのことも少し触れておきたいとおいます。

その美しさに定評があり、「ドナウの真珠」「ドナウのバラ」「ドナウの女王」「東欧のパリ」など、それを称える異名をいくつも持っています。

ブダペストは、欧州では珍しく広い平野があり、しかも肥沃な土地です。水運や街道が集まる所なので、中世から奪い合ってきた土地柄です。

ハンガリー王国の首都であったドナウ西岸のブダと、一時オスマン・トルコに占領されていたドナウ東岸のペストは、1873年に1つになりブダペストという大都市となりました。

ハプスブルク君主国の王領となり、やがてオーストリア・ハンガリー帝国となります。ウィーンに継ぐ大都市として発展していきました。

1920年には戦争により解体され、ハンガリー王国が誕生しました。1989年までは東側諸国でしたが、東西統一が一気に発展した都市です。

世界遺産がたくさんあり、特にドナウ川沿いの建物やヨーロッパ大陸初の地下鉄(世界では3番目)は、一見する価値のある世界遺産です。写真の左上がセーチェーニ鎖橋、右上がマーチャーシュ聖堂、がブダ城、右下がブダペスト地下鉄1号線です。

また、訪れたい都市の一つです。