【FAって何⑫】「何のため」と「なぜ」の違い

「何のため」と「なぜ」は、似た言葉です。

ファンクショナル・アプローチでは、「なぜ」と問わずに「何のため」と問いかけます。そこには、全く違う効用があるからです。

改善するときのテクニックに、トヨタの「なぜなぜ5回」というのがあります。これは、大野耐一氏が言い出したものと言われています。

ある事象に対して「なぜ」という問いかけを5回続けていくと、真因(真の原因)にたどり着くことができるというものです。その真因を正すことで、目の前の事象を根本から改善していこうとするテクニックです。

この前提は、目の前の事象を結果と捉えることです。結果という到達点から過去に向かった、原因追求の犯人探しをすることになります。

確かに多くの場合、原因を基から正せば改善します。しかし、それは因果関係が明確な事象には効果的ですが、因果関係が明確でない場合には時間とお金と精神力を消耗するだけの活動になってしまいます。

ファンクショナル・アプローチは、まだ見ぬ新しい改善策を創造しようとするものです。だから、この方法は使いません。

ある事象に対して「何のため」と問いかけます。そうすると、真の目的にたどり着くことができるからです。その真の目的を達成する手段を新たに創造することで、目の前の事象を改善していこうとするテクニックです。

この前提は、目の前の事象を手段と捉えることです。手段という開始点から未来に向かった、理想追究の恋人探しをすることになります。

意識する方向が180度違います。質問を「なぜ」から、「何のため」に変えることで、人の意識は過去志向から未来志向へ180度変わります。

だから、ファンクショナル・アプローチの改善活動は、楽しくワクワクし、参画するメンバーを巻き込むことができるのです。

 

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