【勝手にFA】豊洲市場移転プロジェクト
2016年8月31日、小池百合子東京都知事は、2016年11月に予定されていた豊洲市場移転の延期を発表しました。
事業費は、2011年2月の3,926億円から2015年3月の5,884億円へと、かなり増えてしまったようです。
そこで、事業費を基に、勝手にファンクショナル・アプローチでいろいろ分析してみました。
現行の築地市場は、1日21億円を取り扱う市場であるにもかかわらず、老朽化が進行し、修復していく限界に達していることと、利便性が悪く非効率な状態です。
FASTダイアグラムをみると、《構造安全性を高める》コトと、《利便性を高める》コトが不十分なまま、営業を続けていることがわかります。
今回、豊洲市場へ移転されることで、23haから40haと広くなることと、構造安全性や利便性が改善され、同時に、衛生安全性、環境負担の軽減が図られているようです。
また、移転にともない各店舗が負担する、営業損失や投資を減らすためのファンクションもあります。
さて、そんな移転にかかる事業費の内訳を見てみましょう。
2011年 | 2015年 | |
土地 | 1,980億円 | 1,859億円 |
土壌汚染対策 | 586億円 | 849億円 |
基盤整備 | 370億円 | 424億円 |
建設費 | 990億円 | 2,752億円 |
合計 | 3,926億円 | 5,884億円 |
この集計は、カタチによる集計です。ファンクションによる集計に変えなければなりません。その結果が、こちらになります。上段が2011年の、下段が2015年の事業賁です。
ここから判ることは、《構造安全性を高める》コトと《利便性を高める》コトに費用が集まっていることがわかります。
では、これだけの費用を掛けて、ファンクションの達成はできているのでしょうか。費用を横軸に、ファンクションの達成度合いを縦軸にとると、アプローチ・チャートが出来上がります。
これを見ると、《構造安全性を高める》と《利便性を高める》の価値が、ランクAからランクCに落ちていることがわかります。
どうやら、改善余地はこの2か所にあったようです。
ただ、残念なコトに、もう造ってしまったということです。
今は、ファンクションの達成が下がってしまった《構造安全性を高める》と《利便性を高める》の達成が要求水準を満たしているかどうかの確認が必要ですね。
そして、満たしていないのなら、必要な改善策の検討し、決定することです。オープンに向けて、リスケジューリングと費用の計算をおこない、新たなプロジェクトとしてスタートすべきです。
新しい豊洲市場を見に行くお楽しみは、少し先になりそうです。
なお、【勝手にFA】は、詳細に情報を収集し、分析したものではありません。そのプロセスと解釈の《サンプルを伝える》コトを目的にしています。