観念と概念の違い
2021年01月18日
ファンクショナル・アプローチを説明する時、私は「固定観念を取り除く技術だ」と表現しています。
ところが、それが伝わるうちに「固定概念」という人がいらっしゃいます。
そこで、観念なのか概念なのか、気になりましたので整理しておきます。
▍正しくは固定観念です
観念とは、その人の捉え方であり、感じ方であり、解釈の仕方です。固定観念とは、それが本人の過去の経験や知識によって固定化されてしまう受身的なものです。
そもそも観念の語源は、デカルトによって近代哲学的な意味で導入されたイデアであり、英語のアイデアに相当する言葉です。イデアとは、認識が意識する主観の内的な問題として捉えられた意識内容を指します。
先入観は、本人が経験する前に、何らかの情報により、先んじて入ってしまっている観念です。
▍正しくは既成概念です
概念とは、一般的な捉え方であり、共有している解釈です。概念は、固定されるものではなく、意味づけるもので、能動的なものです。
そもそも概念の語源は、命題の要素となる項が表すもの、あるいは意味づけられたものであり、英語のコンセプトに相当する言葉です。コンセプトとは、人が認知した事象に対して、抽象化・ 普遍化し、思考の基礎となる基本的な形態となるように、思考作用によって意味づけられたものです。
つまり、固定概念ということばではなく、既成概念が正しい表現です。
▍言葉のファンクション
言語としての正しさは、上記のとおりですが、意思疎通の手段と考えると、大きな誤解にはつながらないと思います。
言葉にもファンクションがあります。《意味を伝える》コトができ、《誤解を減らす》コトができれば、十分です。
頑なに扱うのではない、誰のために用いる言葉か、何のために用いる言葉かによって、臨機応変に扱っていけば良いのです。