決着!ダイアグラムかダイヤグラムか

そもそも外来語にしかない発音をカタカナにすること自体、困難なことです。

今回、ダイグラムかダイグラムかの最終決着をつけたいと思います。

私はいままで、ずっと「FASTダイグラム」と記述してきました。しかし、2015年10月に出版した『VEの魂』では、「FASTダイグラム」と記載されています。

果たして、どちらが正しいのでしょうか。

FASTダイアグラムは、チャールズ・W・バイザウェイ氏が活溌したロジックツリーのことです。

ダイグラムとは、交通機関の運行計画を表現した線図のことで、線が斜めに交差しダイモンドに見えるコトが由来として言われてきました。ウィキペディアにも、そう書いてあります。

一方、ダイグラムとは、次元幾何学モデルで視覚化した象徴的表現された図のことです。こちらも、ウィキペディアに、そう書いてあります。英語の表記は、Diagram であり、発音記号は、dάɪəgr`æm (米国英語)、ˈdaɪ.ə.ɡræm (英国英語)です。

そもそも、カタカナ表記にはルールがあります。

文部科学省の「外来語の表記」(1991年6月)によると、次のように書いてあります。

4 イ列・エ列の音の次のアの音に当たるものは,原則として「ア」と書く。
〔例〕 グラビア ピアノ フェアプレー アジア(地) イタリア(地) 

 

このルールに従うと、ダイグラムと表記することになります。

しかし、その次に例外の注意がありました。そこには、「ダイヤ」とありました。

注1 「ヤ」と書く慣用のある場合は,それによる。
〔例〕 タイヤ ダイヤモンド ダイヤル ベニヤ板

交通機関の運行計画を表現した線図であるダイの語源であるダイモンドは例外扱いです。

ダイモンドは、diamond です。ルール通りだと、ダイモンドなのですが、慣用を理由に例外ということです。

 

ということは、結論は明確です。ダイグラムと言うべきです。

私たち日本人にとって、外来語の発音を日本の発音に変換することは難しいのです。そもそも、日本語の発音にない音も多いからです。

カタカナとして表現するのなら、正解は何かと言われれば、言語との《発音差を無くす》コトであり、それは国際コミュニケーションでの《言語差を縮める》コトになるでしょう。

文部科学省や新聞社などが設定している表記の統一は、その時代、あるいは近い将来の日本人どうしで理解しやすい言語として設定されているだけです。

実際、国の設定する「外来語の表記」も、昭和29年、平成3年と時代に合わせて改定されています。今後も改訂されていくことでしょう。

国際社会が進展するこれから、古い慣用は今のうちになくし、正しい(実際の発音に近い)発音を新しい慣用にしていくべきだと思います。

 

Googleで検索すると、ダイモンドは約 264,000,000 件で、ダイモンドは約 16,200,000 件でした。慣用を根拠にするなら、まだダイモンドです。

ダイグラムは約 451,000 件で、ダイグラムは約 371,000 件でした。慣用を根拠にするなら、もはやダイグラムです!

これからも、横田は「FASTダイグラム」と表記したいと思います。

 

気になっていろいろと調べると、意外と思い違いしている発音が結構あるようです。皆さん、間違って覚えていませんか。

  正解 不正解
  イタリ(Italia) イタリ
  オーストラリ(Australia) オーストラリ
  サイゼリ(Saizeriya) サイゼリ
  アボド(Avocado) アボ
  ジャジー(Jacuzzi) ジャジー
  ベッルーム(Bedroom) ベッルーム
  ミュレーション(Simulation) ュミレーション
  エキシビョン(Exhibition) エキシビョン
  コミュニケーション(Communication) コミニュケーション
  ティーッグ(Tea bag) ティーック
  エンターテインメント(Entertainment) エンターテイメント
  ス(Gips)
  パーティション(partition) パーテーション
 
ちなみに、『VEの魂』で「FASTダイヤグラム」と記載されてしまったのは、日経新聞所が統一している表記に従ったからです。ゲラの段階までは、「FASTダイアグラム」だったのですが第2稿で変わったことをしらなかったので、「FASTダイヤグラム」で印刷されてしまいました。