企業経営を楽にする2つのファンクション

ファンクショナル・アプローチ(以下FA)は、単なる問題解決の道具ではなく、人の思考と行動に影響を与えます。

思考が変わる理由は、FAが「知識から知恵を生み出すアプローチ」だからです。行動が変わる理由は、FAが「イノベーションを起こす伝説の思考システム」だからです。そう言える証拠は、FAが「1947年に誕生し、世界中で今も使われている」からです。

企業が、経営を楽にしたいと考えるのなら、2つのファンクションを達成できるようにすることです。その2つのファンクションについて、もう少し詳しく説明したいと思います。

企業経営を楽にする2つのファンクション

結論から先にお伝えすると、それは《顧客ニーズを捉える》ファンクションと《対応スピードを速める》ファンクションです。

「ファンクション」とは、FAの中で使う専門用語ですが、一般的には、効用・効果・役割・機能・意図といった意味合いの言葉です。目的と手段で言えば、目的側の概念です。

FAは、特定の業界や業種のために開発されたものではなく、人の思考システムに作用するものです。人の思考システムに作用させるために、ファンクションの世界を活用しているのです。

▍《顧客ニーズを捉える》ファンクション

顧客ニーズを正確に把握し、それに合った製品やサービスを提供することは、企業にとって重要です。その顧客ニーズを最も敏感に捉えることができるのは、現場の従業員です。

では、その現場の従業員は、どのようにすればよいのでしょうか。

FAでは、次のように考えます。

「製品やサービスを求めている顧客が本当に求めているコトは、その製品やサービスから得られるファンクションの達成である」

たとえば、顧客は「ドリル」が欲しいのではなく、《穴を空ける》道具が欲しいのです。

ファンクションを捉えられれば、そのファクションを達成することができれば、最初の製品やそのサービスでなくても良いということです。顧客のニーズをファンクションで捉える重要さは、ここにあります。

ただ単に、製品やサービスを提供するのではなく、顧客とのコミュニケーションを大切にし、絶えず変化する顧客ニーズをファンクションとして捉えることです。

そうすれば、顧客のニーズを正確に把握することができます。顧客のニーズを把握することで、企業は自社の製品やサービスを改良し、顧客の満足度を向上させ、長期的なビジネスの継続性を確保することができます。

▍《対応スピードを速める》ファンクション

もう一つは対応スピードです。ビジネスは、常に変化し続けています。しかも、速いのです。対応スピードを速めることは、企業の存続に欠かせません。

そのためには、自律的なサイクルを取り入れることが必要不可欠です。自律的なサイクルを作るためには、現場一人ひとりの主体性が求められます。

FAでは、次のように考えます。

「今しているモノやコトに、「これは誰のためか?」「それは何のためか?」と問いかけてみる。答えられなかったり、仲間と答えが異なれば、改善のチャンスである」

変化スピードはますます速くなり、過去の慣例や成功体験に縛られた思考では対応できません。

現場の従業員が自律的なサイクルを作り出し、自己判断できるようになることで、対応スピードを速めることができます。

企業の経営がより楽になるために、現場の従業員の自律性と主体性が鍵となるのです。

▍FAは企業経営を楽にする

FAは、人の思考にアプローチするシステムです。ちょっとした思考のコツで、ファンクションを捉えることができ、すぐに改善のための活動を開始することができます。ファンクション

つまり、現場の従業員に対して、《顧客ニーズを捉える》ファンクションと《対応スピードを速める》ファンクションを、同時に高めることができるのです。

だから、75年以上たった今でも、世界中で今もなお、適用され効果を出しているのです。