手段を改善する3つのやり方

改善するには、無くすか、減らすか、変えるかしかありません。それぞれの頭文字から「NHK」とも呼ばれています。

この違いをはっきりと理解しておきましょう。

▍無くす

無くすとは、問題の原因、ムリなやり方、ムラのある方法、ムダな手段をやめてしまうコトです。具体的には、中止・廃止・削除・消去・終了・撤退することです。中途半端に残したりせず、関連するすべての行為を無くします。

無くす時に気をつけるコトは、無くすコトで達成できなくなるファンクションがないか、十分確認するコトです。もし確認漏れや見逃しがあると、無くした時に関連する他のモノやコトに不都合が生じてしまいます。

必要なファンクションがある場合は、別の手段で達成できるようにしてから、無くすコトです。これができないと、無くせると知りつつもいつまでも無くせず、やり続けることになります。それこそムダというものです。

▍減らす

減らすとは、問題の原因をやめるのではなく行動量を少なくするコトです。具体的には、軽減・縮小・短縮・減少・低減・半減・節減・引き下げ・カット・簡素化するコトです。 最低限の行動量にすることで関連する行動も減らします。

減らす時に気をつけるコトは、ファンクションの達成の度合いです。現行方法でどのくらい達成していて、本来どの程度でよいのかをきちっと測ることです。必要以上に達成している行動量をやめるコトが減らすコトなのです。

ファンクションの程度を測るためには、ファンクションの捉え方が曖昧ではできません。具体的に何をどうしているのかを明確にすることです。ファンクショナル・アプローチでは、それを「名詞+他動詞」で表現します。

▍変える

変えるとは、問題の原因を別のやり方で実現させるコトです。具体的には、変更・交換・転換・入れ替え・置き換え・組み換え・切り替え・改良・改善・改変・訂正・修正・調整するコトです。その全てか一部を変えます。

変える時に気をつけるコトは、ファンクションのメカニズムです。そのやり方は、複数のファンクションが関連しあって実現しているケースが多いからです。機構や仕組みを把握しておくから、別の手段に変えるコトができるのです。

メカニズムを明確にするためには、よく調べて分析しておくことです。ファンクショナル・アプローチではFASTを使った分析をします。1965年にアメリカで開発された技術で、いまも世界中で使われています。

▍改善を怠らない

改善に終わりはありません。いつまでも同じ状況が続くとは限りません。少しずつ環境が変わっていきます。気がつくと、ずいぶん変わっていたりするものです。大きな差が出てから改善するよりも、常日頃から改善しておくことです。

重要なのは、その差に気がつくことです。常に、ファンクションを意識していることです。具体的には、「誰のため?何のため?」と問いかけておくことです。答えに窮したり、違和感を感じたりしたときが、改善のチャンスです。

無くすか、減らすか、変えるかのどれが良いかは、その時々で変わります。ファンクションさえ、しっかりと捉えていれば、どのような環境にあっても冷静に改善できるものです。ぜひ、この改善の方法を理解しておいてください。