Value Summit 2025レポート
今年も、Value Summit が開催されました。
毎年のことですが、今回もレポートいたします。
長いブログですが、ファンクショナル・アプローチか横田尚哉に興味のある方はぜひお読み下さい。
▍バリュー・サミットとは
Value Summit は、SAVE International(米国社団SAVE国際協会)が主催する国際年次大会です。
世界中から専門家たちが開催地に集まります。研究成果や情報交換が行われ、人と人とがつながっていきます。
今年の開催地は、インドのニューデリーです。これまでの歴史の中で、北米以外が開催地になるのは初めてのことです。
▍2025年はINVETとSAVE Internationalの共同開催
インド開催となったのには、背景があります。それそれコロナ禍から、Value Summit はリアル開催とオンライン開催を交互に行う事になっています。2025年は、オンライン開催の年でした。
インドでは、1977年設立の「INVEST」(インドVE協会)があり、毎年秋に、年次大会を開催していました。インド経済の成長とともにINVETも拡大しており、INVETとの共同開催になったということです。
私は、Value Summit に2003年から毎年参加しており、INVETの年次大会にも参加したことがあります。それぞれに特徴があり、ネットワークと情報を得てきました。
今年は、アメリカ、ドイツ、オランダ、サウジアラビア、インド、オーストラリア、フィリピン、韓国、そして日本の9カ国から、300名が参加したとのことです。

▍オープニングセッション
オープニングでは、Ajay Sharmaバリューサミット委員長(写真左から1人目)、Amit KumarインドINVEST協会会長(2人目)、S.S. Ahluwalia同協会事務総長(3人目)、Robert Stewart前アメリカSAVE国際協会会長(4人目)などにより宣言されました。
SAVE International の会長は、2025年7月にRobert Stewart 氏からHussien Al-Battaineh 氏に代わっています。Hussien Al-Battaineh 氏は、カナダの人で、公共事業をメインとしてコンサルタントです。趣味は、フィッシングで、とても紳士的でフレンドリーな方です。残念ながら今回は来場せず、Stewart前会長に託されたようです。

▍キーノートスピーチ
そして、インド政府の重鎮である、Nitin Gadkari道路交通・高速道路大臣が登壇し、基調講演がありました。アメリカの国際イベントをインドに誘致したことによりインド政府の姿勢が感じられます。
インドでは、Gadkari大臣のリーダーシップの下、国道網は約60%拡大し、2014年の約91,000kmから2024年には約146,000kmにまで達成。Gadkari大臣は、不適格車両の廃車と大気汚染の削減を目的とした車両廃車政策(2022年4月発効)を導入し、通行料金制度に革命をもたらしたそうです。
これにより、通勤者の時間と燃料を節約することが可能になり、2025年には、1年間有効な有料道路の年間パスを3,000ルピーで発売し、自家用車利用者の利便性向上に貢献したとのことです。
Gadkari大臣は、再生材を用いた持続可能な建設、電動モビリティ、代替燃料、グリーンエネルギーの推進に力を入れており、急速なインフラ整備と環境責任を両立させるというビジョンの進めているとのことでした。
政府の要人ということもあり、セキュリティが物々しかったです。

▍テクニカルセッション
テクニカルセッションは、入選した論文やプレゼンテーションが行われます。5トラックに分かれて合計66編の発表がありました。
自動車関連が半分くらいを締めています。ざっくりとカテゴリーに分けるとこんな感じです。
・自動車関連(商用車・乗用車・部品・EV)
・建設機械・重機関連
・電気・電子機器・電力関連
・水処理・エネルギー設備
・住宅設備・ロック・セキュリティ
・医療・ヘルスケア
・サステナビリティ・CSR
・経営・方法論・教育
・冷凍・空調
・その他産業(物流・製造プロセス等)
私も、論文を応募し、プレゼンテーションをしてきました。論文名は「Application of Value Methodology for Health(健康へのVM適用)」です。
「健康」という定義しにくい対象をファンクショナル・アプローチで分析する考え方と具体的な手法、その結果の利用方法まで、まとめてお伝えしました。

▍エキスパートトークやパネルディスカッション
エキスパートトークでは、受賞した企業による活動概要や取り組みに関する最新情報などが報告される特別講演のようなものです。
パネルディスカッションでは、「経済を力強く支えるVMとは」という内容で、各国協会の代表者のほか、マルチ・スズキやタタ・モーターズなどの自動車メーカーの責任者などをパネリストに、意見交換が行われました。

▍表彰セッション
この1年かの活動や論文などを表彰するセレモニーも行われました。また、新しいCVS資格を取得した人やSAVEフェローの称号を付与された人なども紹介されました。
インド国内の受賞も含まれており、受賞の種類がとてもたくさんある印象でした。どれほどの価値があるのかわからないものもありました。
写真は、今回新たにフェローの称号を付与された、Surya Prakash Prabhakerfor氏(左)とAlan K. Adelgren氏(右)です。

▍Value Summit の総評
会場は「ザ・ラリット・ニューデリー」で、高級感のある広々としたホテルで、周辺は明るく治安も良いところでした。周辺には、レストランも豊富で徒歩で行ける範囲です。
大会そのものは、若い世代が中心となり、経済成長を感じさせるような活気と勢いを感じました。日本国内にいると感じることのできない雰囲気を味わい、日本の企業や専門家に、どのように伝えようかと考えているところです。
私自身も多くのエネルギーをチャージし、また新たな友人とも出会え、収穫の多かった1週間となりました。

少し時間が出来たところで、ニューデリー国立博物館に行かないかと誘われ、宗教国としての古代インド時代の収蔵品や美しい展示物を堪能してきました。ついでにインド門と連邦政府庁舎を見学しておきました。
