意思決定は「可能性」と「再現性」で変わる—経営判断の考え方

成功事例や強い話題に、意思決定を引っ張られていませんか。

それは「再現できる話」ではなく、「可能性のある話」かもしれません。

経営やマネジメントに必要なのは、当たるかどうかではなく、起こせるかどうかです。

ここでは、「可能性」と「再現性」を分けて捉える視点から、不確実な事象をコントロール可能に変える思考法を整理します。

 

▍可能性に乗るな。再現性を作れ

「その判断、可能性で決めていますか?それとも再現性で決めていますか。」

管理職・経営層の現場では、意思決定のスピードが求められます。すると、強い成功談、印象的な事例、勢いのあるトレンドが会議の空気を一瞬で支配します。

けれども、その熱量のまま走り出すと、実行段階で必ず詰まります。「結局、何をすれば同じ結果が起きるのか」が曖昧だからです。

ここで分けたいキーワードが、「可能性」と「再現性」です。

・可能性=相関で語る
・再現性=因果で組む

 

▍可能性は「相関」—風が吹けば桶屋が儲かる

「風が吹けば桶屋が儲かる」は、相関の典型です。風が吹く→砂ぼこり→目を痛める→三味線が売れる→猫が減る→ネズミが増える→桶がかじられる→桶屋が儲かる。

面白い話ですが、ここに経営判断としての弱点があります。

それは「カラクリが見えない」ことです。相関だけだと、途中の鎖が抜け落ちやすく、条件も曖昧になります。

結果として、こちらが打てる手段が定まりません。つまり、コントロールが効きにくいのです。

ビジネスでも似たことが起きます。
・「SNSをやれば売上が伸びるらしい」
・「採用広報をやると応募が増えるらしい」
・「このツールを入れると生産性が上がるらしい」

どれも「可能性」は語れます。しかし、それだけでは決定に足りません。相関は“説明”にはなっても、“運用”にはなりにくいからです。

 

▍再現性は「因果」—起こしにいける状態を作る

一方、再現性は「因果」です。結果を起こすための手段が言語化され、目的と手段のロジックがつながっている状態です。

ここで役立つのが、FA(ファンクショナル・アプローチ)のFASTです。FASTは、目的と手段の鎖を見える形にします。

例えば「新規受注を増やす」を目的に置くと、こんな整理になります。

こうして「鎖」が見えると、再現性の検証ができます。どこを変えれば結果が動くか、どこが弱いか、どこに投資すべきかが明確になります。

再現性とは、当てにいく話ではなく、起こしにいける話です。

 

▍可能性を再現性に変える、会議の問い

意思決定の場で、次の問いを入れてみてください。可能性の話を、再現性の話に変えるスイッチになります。

・それは“事例”ですか、“仕組み”ですか
・うまくいく条件は何ですか
・自社で打てる手段はどれですか
・鎖のどこを計測しますか

「成功談がある」だけなら可能性止まりです。「目的―手段がつながり、どこを動かせば結果が動くか」まで言えると再現性になります。

 

▍結論:可能性は語れる。再現性は作れる

不確実な事象ほど、「影響の大きさ」に思考が引っ張られます。強い印象は便利ですが、確率や条件を落としやすい。

だからこそ、経営は“物語”ではなく“構造”に戻す必要があります。

可能性は、相関。
再現性は、因果。
経営は、再現性に投資する。

FAは「誰のため?何のため?」で足場を作り、FASTでカラクリをつなぎ直します。

意思決定を、当てるから起こすへ。ここに、FA思考の価値があります。

関心があれば概要だけご覧ください。
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