その判断、潮目ではなく波だけを見ていないか
いま、多くの企業が「動いているのに前進しない」状態に入っています。
原因は、努力不足ではなく、見るべき対象のずれです。波の高さには敏感でも、潮目の変化には鈍感になっているのです。
時代の前提が変わると、過去の正解はそのままでは機能しません。必要なのは、現象を追う経営から、本質を捉える経営への切り替えです。
ここでは、そのための見方と実務での使い方を具体的に示します。
▍目先の波ではなく時代の潮目を見ていますか
いま起きている変化は、四半期ごとの景気変動のような揺れではありません。
数十年単位で前提が入れ替わる「潮目」の変化です。
潮目が変わると、同じ努力でも成果の出方が変わります。
過去に正しかった打ち手を繰り返すだけでは、企業の力は静かに削られていきます。
▍現場では情報が増えるほど判断が散っていく
現場では、毎日のように新しい情報が流れ込みます。
市場ニュース、競合の施策、SNSの反応、短期業績の上下。どれも重要に見えます。
たとえば会議では、直近の数値に反応して施策を差し替え続け、方針が週ごとに変わることがあります。
採用でも、流行スキルの有無だけで急いで決めた結果、数年後に必要な役割と噛み合わないことがあります。
営業では、今月の受注を優先して値引き案件を取り続け、顧客との関係価値が痩せるケースもあります。
これは「行動しているのに前進しない」典型です。
▍原因は現象を目的化し本質を問わなくなること
なぜこうなるのか。
理由は、現象を追うこと自体が目的化してしまうからです。
現象は、あくまで表層です。
表層に即応するだけでは、全体がどこへ向かっているのかを見失います。
FA(ファンクショナル・アプローチ)の要点は、表面の出来事ではなく、役割と意図を捉えることです。
「誰のため?何のため?」と問うことで、ノイズではなく本流を見分けられます。
▍潮目を見誤らないための論点はこの3つ
・時間軸を分ける:いまの変化が短期の波か、長期の潮目かを切り分ける
・前提を点検する:いまの経営ルールは、どの時代条件で有効だったかを明らかにする
・価値で選ぶ:話題性や緊急性ではなく、将来の価値に沿って優先順位を決める
▍FAの問いで本質を掴み判断軸を再設計する
実務では、まず「反応する会議」を「見極める会議」に変えます。
議題ごとに、最初の3分で次を確認してください。
1つ目は、これは波への対処か、潮目への対応か。
2つ目は、この判断は誰にどんな価値を残すか。
3つ目は、1年後ではなく5〜10年後に見て妥当か。
この手順を通すと、意思決定の質が安定します。
結論の速さより、結論の向きが揃うようになります。
▍今日と今週でできる潮目対応の一手
今日やることは、直近の重要案件を1つ選び、
「これは波か、潮目か」をチームで明文化することです。
今週やることは、定例会議の議題テンプレートに
「誰のため?何のため?」と「5年後の価値」を追加することです。
時代が大きく動く局面では、現象への反応力だけでは足りません。
本質を掴み、判断軸を合わせ、価値の方向をそろえることが、経営の土台になります。
実務チェックリスト
・この議題を「短期の波」と「長期の潮目」のどちらかで説明できる
・判断理由を、数値だけでなく「誰への価値」で言語化できる
・今週の意思決定で、5年後にも残したい選択を1つ選べる
