判断軸がないと、意思決定は他人に渡る
情報が過多になる局面ほど、人は「正しい情報」を集めようとして疲弊します。
けれど、意思決定の質を決めるのは情報量ではなく、判断軸の有無です。
判断軸がないと、結局は「強い言葉」「多数派」「空気」に判断を委ねます。
ここでは、判断軸の作り方として「誰のため?何のため?」を提案し、最後に“選挙”を例に、その効き方を短く示します。
▍なぜ情報が増えると判断が鈍るのか
情報過多のとき、私たちの頭は次の状態になりやすいです。
- ・情報の“正しさ探し”に吸い込まれ、決められなくなる
- ・断片の刺激(強い言葉、切り抜き)に反応して結論を急ぐ
- ・相手の欠点探しが目的化し、本来の目的が消える
ビジネスでも同じです。資料が厚くなるほど会議は長くなり、意思決定が遅れ、結局「声が大きい案」に流れます。
つまり問題は、情報そのものではなく、判断の基準が未設定であることです。
▍判断軸とは何か:情報を“選別する定規”
判断軸は、情報を否定するための武器ではありません。
情報を選別し、優先を決め、責任を引き受けるための定規です。
判断軸がない状態は、例えるならこうです。
- ・定規がないのに「長い/短い」を議論している
- ・地図がないのに「どっちに進むか」を揉めている
だからまず必要なのは、定規=判断軸です。
▍提案:判断軸は「誰のため?何のため?」に置く
私が推す判断軸は、FAの基本の問いです。
- 🟦問い(判断軸)
- ・「誰のため?」
- ・「何のため?」
ここで重要なのは、他人の主張を評価する前に、自分の望みを言語化することです。
「何が正しいか」を探す前に、「私は何を優先するか」を決める。これが判断軸です。
▍判断軸を“使える形”にする3段の問い
抽象のままだと使えないので、3段に落とします。
- 第1段:価値の問い(軸の中身を決める)
- ・私は《何を守りたい》のか
- ・私は《誰の痛みを減らしたい》のか
- 第2段:設計の問い(どう効く?)
- ・その主張は《何を減らす》/《何を増やす》話か
- ・誰に届き、どこが動くのか
- 第3段:責任の問い(副作用と出口)
- ・しわ寄せはどこに出るのか
- ・出口(やめ方/戻し方)はあるのか
この3段があると、情報洪水の中でも迷子になりません。
▍選挙の時、判断軸が試される
情報過多の代表例が、選挙です。公約、批判、切り抜き、解説、煽りが一気に増えます。
このとき多くの人は「どの党が正しいか」を探します。けれど実は、先に問うべきはここです。
- 🟦問い:私は「誰のため」に「何のため」に投票したいのか?
たとえば「積極財政」という言葉を聞いたとき、賛否の前にこう点検します。
- ・それは、私が守りたい《何》のための話か
- ・私が減らしたい《痛み》に届く設計か
- ・しわ寄せと出口は語られているか
ここまで問えれば、候補者や政党の“言い方”ではなく、自分の判断軸に照らして選ぶことができます。
選挙は、政策を評論する場というより、自分の判断軸を点検する場にもなります。
▍結論:情報が増えるほど、先に決めるのは「自分の軸」
情報過多の局面で、いちばん危険なのは「正しい情報を集めれば正しい判断ができる」という思い込みです。
判断の質を決めるのは、情報量ではなく、判断軸です。
- ・私は《誰の痛みを減らしたい》のか
- ・私は《何を守りたい》のか
- ・その主張は、目的・手段・副作用・出口が揃っているか
この問いを持つだけで、情報洪水の中でも、意思決定を自分の手に戻せます。
▍次の一歩
もし「判断軸を言葉にできない」「問いは分かるが、現場で使い切れない」と感じるなら、それは能力不足ではなく、型(思考の手順)がまだ身体化していないだけです。
FAは、まさにこの「問いを立て、目的と手段を整え、意思決定に落とす」ための思考システムです。
日々の会議・企画・投資判断で迷いが増えている方ほど、基礎から一度、型を通しておくと効きます。
👉️私たちの「FA基礎研修」では、「誰のため?何のため?」を起点に、判断軸を組み立てる手順を、ケースで反復しながら身につけていきます(第38回FA基礎研修(2026年3月))
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