提案で終わらせない。VM Job Planが「実現(Implementation)」までを標準にした理由

改善提案が、会議では通るのに現場で止まる。

報告書ができた瞬間にプロジェクトが「完了扱い」になり、成果は出ない。——そんな経験はありませんか。

私はSAVE International(米国社団SAVE国際協会)の「VM Guide」の改定に、執筆者の一人として関わりました。そこで強く感じたのは、世界のVM(Value Methodology)が今、「提案の質」ではなく「実現の確度」へ舵を切っている、という事実です。

 

▍VM Job Planは「6フェーズ」から「8フェーズ」へ

従来のJob Planは、情報→機能→創造→評価→展開→プレゼン、という“提案をまとめる流れ”が中心でした。
ところが「VM Guide」(SAVE Internationak, 2020, more ≫)では、VM Job Planは8フェーズとして示され、最後にImplementation(実装)が明確に置かれています。さらにImplementationは「提案を採用するか判断し、実装計画を作り、実行して価値改善を現実化する」段階だと定義されています。

経営の言葉に翻訳すると、こうです。

・(旧)良い案を出すことがゴールになりやすい
・(新)成果が出るところまで責任を持つことを、プロセスに組み込む

 

▍なぜ「良い提案」が実行されないのか

提案が止まる理由は、担当者の熱意不足ではなく、構造の問題であることが多いです。

典型パターンは次の通りです。

・「誰が決めるか」が曖昧(意思決定が宙に浮く)
・「何を優先するか」が曖昧(価値基準が共有されていない)
・「誰がやり切るか」が曖昧(実行責任が分散する)
・「どこまでやれば成功か」が曖昧(評価指標が後付け)

つまり、提案の前に、経営としての設計が足りていないのです。

 

▍経営が持つべき視点:「提案」ではなく「実現確度」を設計する

VMがImplementationを明示したのは、「実現が起きないなら、価値改善は存在しない」と割り切ったからです。

経営・管理職の立場で見るなら、改善活動の評価軸を次に切り替える必要があります。

これまで起きがちこれから必要
提案の数・完成度実装計画の明確さ
うまい資料役割・責任の固定
合意形成の雰囲気実行の段取りと期限
“良さそう”の印象指標で追える再現性

 

▍FAが刺さる理由:提案を「実現の設計図」に変える

ここでFA(ファンクショナル・アプローチ)の出番です。

FAはアイデアの巧拙ではなく、「何のため?」を軸に、価値の構造を揃え、手段を組み替えます。

経営に効くのは、次の3点です。

・価値の基準が揃う(部門間の揉め事が減る)
・意思決定が速くなる(判断の土台が言語化される)
・実行が進む(責任と段取りが“構造として”見える)

「提案を出す会議」から、「実現する経営」へ移るための、思考の型になります。

 

▍明日からできる「実現寄り」への切り替え

最後に、現場で止めないための最小セットです。

・ゴールを「実行の状態」で書く(成果の姿を先に決める)
・価値基準を3つに絞る(意思決定が速くなる)
・実行責任者を1人に固定する(“みんなで”をやめる)
・実装の最初の一手を決める(期限付きで小さく動かす)

提案が弱いのではなく、実現の設計が足りない

VMの標準がそこに踏み込んだ今、改善活動の評価軸も、実装へ寄せるべきタイミングです。

もし「提案で終わらせず、実現まで進む型」を社内に根づかせたい場合は、まず共通言語をそろえるところから始まります。

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