【類語シリーズ】育てる・養う・伸ばすの違い

日本語は、単語そのものにニュアンスの微妙な違いを表現しています。

ファンクショナル・アプローチ(more ≫)では、ファンクションを定義する際、このニュアンスの微妙な違いを意識して定義することを推奨しています。

今回は、「育てる」、「養う」、「伸ばす」の違いを解説してみます。

▍育てる

意味と特徴
「育てる」は、対象の成長を支える言葉で、時間をかけて関わりながら成長を見守るニュアンスがあります。ポイントは、成長のための《環境を整える》コトも含まれるところにあります。

使われる対象
人材・子ども・植物・組織・文化・風土など

例文
・新人を育てるには、経験できる場を用意して《自発性を育てる》コトが大切だ。
・プロジェクト文化を育てるとは、価値観を共有して《風土を育てる》コトでもある。

▍養う

意味と特徴
「養う」は、未来につながる力を内側から支える言葉です。見える成長ではなく、土台や基礎となる力を《内面を養う》ように、目に見えない部分を支える行為が中心です。

使われる対象
知恵・思考力・体力・信頼・感性・心・関係性など

例文
・読書によって《思考力を養う》コトは、深い判断力の基盤になる。
・共に経験を積むことで《信頼を養う》コトができる。

▍伸ばす

意味と特徴
「伸ばす」は、すでに持っている力や可能性をさらに高める言葉です。強みや才能を《能力を伸ばす》ように成果につなげていく働きを持ちます。

使われる対象
才能・強み・技能・売上・事業・可能性・期間・距離など

例文
・部下の強みを見つけ、《才能を伸ばす》コトがリーダーの役割だ。
・海外展開によって《事業を伸ばす》チャンスが生まれる。

▍3つの違いを整理すると

動詞主な役割対象
育てる《成長を支える》人・文化・組織
養う《基盤を支える》思考・信頼・力
伸ばす《強みを高める》才能・事業・成果

▍どう使い分ければよいか?

・関わりながら成長を支えるなら → 「育てる」
・内面的な基盤を支えるなら → 「養う」
・強みを成果につなげるなら → 「伸ばす」

同じ「人材育成」でも、どの言葉を選ぶかで伝わる意図が変わります。

  • 《社員を育てる》会社
  • 《人材を養う》会社
  • 《才能を伸ばす》会社

あなたの組織は、どの姿に近いでしょうか?