レマン湖の釣り人|逸話シリーズ③
ファンクショナル・アプローチ(FA)思考の大切さを伝える逸話シリーズ第三弾です。
今回は、「レマン湖の釣り人」です。
目的を達成できる人と、ひたすら手段ばかりにとらわれている人の逸話です。
▍レマン湖の釣り人
スイスにレマン湖というすばらしい自然に囲まれた美しい湖へ日本人が観光に訪れました。近くの湖畔でボーっと釣りをしている釣り人を見かけ近づいて、こう言いました。
「魚がこんなにたくさんいるのだから、網を使えばいっぱい捕れますよ」
すると釣り人は「網で、たくさんの魚を捕ってどうするのですか」と答えました。
「魚を市場にもっていけば、いいお金になるじゃないですか」
「お金に換えてどうするのですか」
「お金があれば、この湖のほとりに別荘を建てることも出来るじゃないですか」
「別荘を建ててどうするのですか」
「別荘があれば、一日、ボーっと釣りを楽しめるじゃないですか」
「……」
▍誰のため?何のため?
この日本人は、最後になってようやく気づきます。釣り人はすでに「ボーっと釣りを楽しむ」という目的を、最初から実現していたのだと。
この会話は、「魚を釣るのは、何のため?」という問いから始まり、次のように展開していきました。
- 「魚を釣るのは、何のため?」→「魚を売るため」
- 「魚を売るのは、何のため?」→「お金を得るため」
- 「お金を得るのは、何のため?」→「別荘を建てるため」
- 「別荘を建てるのは、何のため?」→「魚を釣るため」
結局は「魚を釣るため」に戻ってしまい、日本人は答えに詰まってしまいます。
つまり、大量の魚を捕るための工夫や努力は、この釣り人にとっては無意味であり、そのためにお金や時間や労力を費やすこと自体が「無駄な努力」だったのです。
ファンクショナル・アプローチ(FA)は、このように手段に囚われてしまう思考から、私たちを解き放つ方法論です。
「誰のため?」「何のため?」と問い直すことで、私たちは本来の目的に立ち返ることができ、意味のない行動に気づくきっかけが生まれます。
考えるコトは、無駄な努力を止め、価値ある努力へと転換する第一歩なのです。
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