ノスターの改善管理モデル

ノスターの改善管理モデル、略して「ノスター・モデル」とは「改善」を成功させるために必要な管理要素を表したものです。

このモデルは、1991年にアメリカで発表されました。アメリカでは、改善指導、改善管理に多く活用されているようですが、日本では、知っている人は少ないようです。

そこで、「ノスター・モデル」の概要と活用方法をご紹介したいと思います。

まず、どのようなシーンで使うモデルなのかです。

私が経営コンサルタントとして扱う内容は、企業が抱える経営上の課題や問題です。それを解決して、新たなステージに向かっていただくために、大きな変更が伴うものです。拙著、『第三世代の経営力』でいうところの「経営の進化」です。

進化の姿は、ファンクショナル・アプローチを使って創りだすことが出来ますが、それを現実のものにするためには、指導と管理を確実に実行していく必要があります。

指導と管理ができないと、どれほどすばらしい改革案や改善案があっても、絵に描いた餅に終ってしまいます。

そこに、この「ノスター・モデル」が参考になります。必要な要素をしっかりと管理していくことができます。

私が、ファンクショナル・アプローチを企業に導入するときも、この要素を意識しているから、大きく進化をしていただいているのです。

 

それでは、その要素について説明していきます。

必要な要素とは、ビジョン、合意、スキル、報酬、リソース、そして、実行計画の6つです。もし、1つでも不十分だったり、欠落したりすると、好ましくない状態に陥るというものです。

ビジョンのない改善は、混乱を招き、うまく進まないでしょう。ファンクショナル・アプローチで言うように、「その改善は誰のため?何のため?」が明確になっていないと、間違った方向に進んでしまいます。

合意のない改善は、妨害を受け、うまく進まないでしょう。たとえビジョンがあっても、異論や反論がある中で進めようとすると、足並みが揃わず、失敗させようと企んだり、遅延させようと謀ったりする人が現れます。

スキルのない改善は、不安に襲われ、うまく進まないでしょう。たとえ合意しても、知識が不足したり、経験が不充分だったりすると、自信を喪失し、心理的障壁を生み、躊躇を誘い、到底、実現できません。

報酬のない改善は、抵抗を生じさせ、うまく進まないでしょう。たとえスキルがあっても、インセンティブがなかったり、メリットが無かったりすると、やる気と動機は下がり、本来の成果を作り出せません。

リソースのない改善は、不満を生みだし、うまく進まないでしょう。たとえ報酬があっても、人的資源が調達できなかったり、必要予算が確保できなかったり、活動日程が与えられなかったりすると、何の行動もできません。

実行計画のない改善は、ルームランナーで走るだけで、うまく進まないでしょう。たとえ、リソースがあっても、有効な実行の組み立てが出来ていないと、ただ一生懸命に動いているだけで、少しも前に進みません。

どれ一つとして、不十分だと成功しないということです。全てを確実に揃えることなのです。招いてしまった好ましくない状態から、何が不十分なのかを知ることにも使えます。

もし、複雑な変更、改善、大きな改革をしようとするのなら、あるいは、既にそのプロジェクトが実行しているのなら、是非、ノスター・モデルでチェックしてみてください。