【FAって何⑭】FASTとは
FASTとは、1965年にアメリカのチャールズ・W・バイザウェイ氏(Charles W. Bytheway)よって発表された体系技術です。「Function Analysis System Technique」 の頭文字を取ったもので、「ファスト」と読みます。
一言でいえば、先入観や固定観念にとらわれることなく本質的に対象を理解するために、カタチをファンクションに分解し、目的と手段の関係により体系化する技術の総称です。
■FASTに関する用語
ではひとまず、FASTに関する用語を整理しておきたいと思います。
FASTの体系技術を使って分析する活動をファンクション・アナリシス(機能分析)、ファンクション・モデリング(機能図化)などといい、その時に選択する型をFASTモデルといいます。FASTモデルは、様々なバリリエーションがあり、出来上がった図を、FASTダイアグラム、FASTツリー、あるいはファンクション・ツリーなどといいます。
日本でよく使われている機能系統図も1つの型(バリエーション)であると言え、広義では「FAST」です。
■様々なバリエーション
次に、様々な型(バリエーション)についてまとめておきます。
チャールズ・W・バイザウェイ氏が1965年に発表した後、1967~1968年にウェイン・ラグルス氏(Wayne “Doc” Ruggles) やリチャード・パーク氏が「テクニカルFAST」を、1967年頃に玉井正寿氏が「機能系統図」を、1969年にトーマス・スノグラス氏(Thomas J. Snodgrass)やセオドール・ファウラー氏(Theodore Fowler)が「カスタマーFAST」を発表しました。
これらと区別するために、チャールズ・W・バイザウェイ氏のオリジナルを「クラシカルFAST」と呼ばれるようになりました。
■FASTの新基準
2016年6月には、テクニカルFASTがほぼ40年ぶりに新しく改良されました。
カナダで開催された世界大会「2016 Value Summit」で、新基準となる『ファンクション・アナリシス・ガイド』(アメリカSAVE国際協会&マイルズ・バリュー財団・作)が発表されました。
■FASTの基本的な手順
「すべてのモノ・コトには、ファンクションがある」という前提のもと、対象からファンクションを抽出します(Identify Functions)。
抽出されたファンクションを、性質から分類します(Classify Functions)。
全てのファンクションを、目的と手段のロジックを基本に体系的(ここにいろいろな型がある)に整理します(Organize Functions)。
それぞれのファンクションに、リソースを配分する(Allocate Resources)ことで、改善すべきファンクションの優先順位をつけます(Prioritize Functions)。
動画でFASTダイアグラムの作り方をご覧いただけます。
■FASTの効果
このFASTを作成することで、携わったメンバーは次の効果を得ることが出来ます。
- ・ 対象の機構や仕組みを深く理解することができる
- ・ 創造性思考に刺激を受け、発想が豊かになれる
- ・ メンバー同士のコミュニケーションが改善される
その結果、先入観や固定観念にとらわれることなく、短時間で効果的な改善、改革、解決ができるようになります。
■FASTをマスターするためには
あらゆる対象を分析することができる、たいへんパワフルな技術です。しかし、浅い理解で分析すると効果が得られないかもしれません。考え方やテクニックを熟知した経験豊富な専門家から、正しく学ぶことをおすすめします。
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