企業の攻め時・守り時
経営は、その状況に応じて攻める時と守る時があります。攻めなければならない時に守りの態勢のままでは攻められません。守らなければならない時に攻めの態勢のままでは守れません。当たり前のことです。
だから経営者は、今が攻勢か守勢かを見極め、必要に応じて組織力を活かして一気に方向転換しなければならないということです。
その時に企業としてのあり方、経営の方向として、まず「守り時」から説明したいと思います。
◆「守り時」の企業のあり方
守勢の時は、次の3つがポイントになってきます。これらが、常時実行し続ける態勢でなければなりません。
- リスクを見逃さないコト
- 監視体制を強化するコト
- リソースを使い切るコト
リスクを見逃さないために、多くの人の意見を聞き、可能性が低くても影響の大きなリスク要因には徹底的に対策を施すことです。監視体制を強化するために、管理職を増やし、会議を多くして、承認制度を複雑化することです。余剰のリソースがないように、ムダ・ムリ・ムラを完全に無くすことです。
そして、業界内の提携や連携、地域内で協定などを組み、団結して助け合って、無謀なことをせず安全に護送船団を意識して前進することです。
少し前までは、このような態勢で良かったかもしれませんが、2017年はそうではありません。大きく舵を切る時が来ました。では次に、「攻め時」を説明します。
◆「攻め時」の企業のあり方
攻勢の時には、次の3つがポイントになってきます。これらが、いつでも実行できる態勢でなければなりません。
- チャンスを逃さないコト
- 意思決定を早くするコト
- リソースを準備するコト
チャンスを逃さないために、組織の参謀、企画、改善などの機能を高めることが必要です。意思決定を早くするために、これらの活動は、経営に近いポジションで常に経営とコミュニケーションをしながら進めたいところです。リソースを準備するために、ある程度の自由度を確保しておくことです。確保しておくのは、例えば、キャッシュ、人材、在庫などです。
そして、自社の目指す未来を見据え、業界や地域の枠組みを超えて競い合って、多少のリスクよりも先行優位を意識して前進することです。
果たして今、企業にとってとるべき態勢は、攻勢か守勢かどちらでしょうか。
◆守勢から攻勢に変わるポイント
守勢から攻勢に変わるためには、”’何かを手放し、何かを掴むこと”’です。何を手放すか、どのタイミングで、どれから手放すかはとても重要です。
その時に見失ってはいけないのが、ファンクショナル・アプローチで言う「ファンクション」です。ファンクションとは、手段ではなく本質であり、目的であり、目指す理想です。ビジョンやミッションでもあります。そもそも何をしようとしているのかがブレないことです。
そもそも私たちは、誰のために活動しているのか?何のために活動しているのか?
この問いかけの答えが、ブレてもいけないし、人によって異なってもいけないのです。そして、変わるタイミングでは、次の3つを厳守することです。
- 過去を否定しない
- 部分最適を考えない
- 組織として取り組む
これは、『第三世代の経営力』(致知出版社・刊)にも書いたことです。時代遅れの感覚で経営していたのでは、生き残りは難しいでしょう。
生物が進化してきたように、経営も進化していかなければならないのです。
攻め時が進化する絶好のチャンスだということです。